昨年12月に、令和5年度税制改正大綱が閣議決定されました。今回はこの中から、医療機関の経営に関する主な項目を取り上げます。
医療機関の経営に関連する主な税制改正案は、次のとおりです。
◆医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長等
「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」の改正を前提に、持分なし医療法人への移行計画の認定制度に基づく特例措置について、その適用期限を令和8年12月末まで延長する。併せて、当該認定制度における移行期限について、移行計画の認定の日から起算して5年(現行:3年)を超えない範囲のものとする等の措置を講じる。
◆地域医療構想実現に向けた税制上の優遇措置の延長
医療機関の開設者が再編計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を3年延長する。
登録免許税の税率の軽減措置の概要
地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律における認定再編計画(地域医療構想調整会議において合意されていることが条件)に基づき取得した不動産(用地・建物)について、登録免許税の税率を1/2に軽減する。
◆医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度の延長
医療用機器等の特別償却制度について、医療用機器に係る措置の対象機器の見直しを行った上、制度の適用期限を2年延長する。
対象制度
◆その他
中小企業者等の法人税率の特例の延長
中小企業者等の法人税率は、年800万円以下の所得金額について、租税特別措置において15%まで軽減されており、この適用期限を2年間延長する。
医療保険制度改革に伴う税制上の所要の措置
健康保険法の出産育児一時金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き非課税措置等を講ずる。
なお、検討事項として事業税に関する以下の項目が、引き続き掲げられています。この点もあわせてご確認ください。