
文書作成日:2023/03/15

昨年12月に、令和5年度税制改正大綱が閣議決定されました。今回はこの中から、福祉施設の経営に関する主な項目を取り上げます。

福祉施設の経営に関連する主な税制改正案は、次のとおりです。
◆サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長
政府の補助を受けて新築された一定のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る@固定資産税の減額措置、A不動産取得税の課税標準の特例措置、B当該住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置について、床面積要件の上限を160u以下(現行:180u以下)に引き下げた上、その適用期限を2年(2025年3月31日まで)延長する。
制度の内容
@ 固定資産税の減額措置
一戸あたり120u相当部分につき5年の間、税額について2/3を参酌して1/2以上5/6以下の範囲内において、市町村が条例で定める割合を軽減する措置。
A 不動産取得税の課税標準の特例措置
家屋について、課税標準から1戸あたり1,200万円控除する措置。
B 当該住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置
土地について、次のいずれか大きい方の金額を税額から控除する措置。
- ア:4万5,000円(150万円×3%)
- イ:土地の評価額/u×1/2(特例負担調整措置)×家屋の床面積の2倍(200uを限度)×3%
なお、各特例措置の対象となる主な要件は、以下のとおり。 
- a. 床面積:30u〜160u/戸(共用部分含む。)
- b. 戸数:10戸以上
- c. 補助:国からサービス付き高齢者向け住宅に対する建設費補助を受けていること
- d. 構造:主要構造部が耐火構造又は準耐火構造であること 等
◆母子父子寡婦福祉法に基づく高等職業訓練促進給付金に係る非課税措置等の延長等
@母子父子寡婦福祉法に基づく高等職業訓練促進給付金、Aひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の住宅支援資金貸付けにおける債務免除額、B児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業における債務免除額について、法令の改正その他の見直し等を前提に、引き続き非課税措置を講ずる。
制度の内容
@ 母子父子寡婦福祉法に基づく高等職業訓練促進給付金
ひとり親が就労し安定した収入を得て自立することを支援するため、訓練中の生活費を支援する給付金。この給付金について、対象資格の拡充や訓練期間の緩和の措置を延長する法令改正を前提に、引き続き非課税・差押禁止措置を講ずる。
A ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の住宅支援資金貸付け
母子・父子自立支援プログラムの策定を受け、自立に向けて意欲的に取り組んでいる児童扶養手当受給者等に対して、住居費貸付を行っており、1年間の就業継続で返済免除となる。この返済免除額(債務免除益)について、引き続き非課税措置を講ずる。
B 児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業
児童養護施設等を退所し、就職・進学する者等に対して家賃貸付、生活費貸付、資格取得貸付を行っており、家賃貸付、生活費貸付については5年間の就業継続、資格取得貸付については2年間の就業継続で返済免除となる。この返済免除額(債務免除益)について、事業内容の見直し後も引き続き非課税措置を講ずる。
◆その他
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認可外保育施設の利用料に係る消費税の非課税措置の拡充等
都道府県知事等から国家戦略特別区域内に所在する場合の外国の保育士資格を有する者の人員配置基準等の一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けた認可外保育施設において行われる保育について、消費税を非課税とする。
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介護保険制度改革に伴う税制上の所要の措置
介護保険法の介護給付について、所要の法令改正を前提に、非課税措置等を講ずる。
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生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに伴う税制上の所要の措置
生活困窮者自立支援法の生活困窮者住居確保給付金について、所要の法令改正を前提に、引き続き、所得税を課さず、国税の滞納処分による差押えを禁止する等の措置を講ずる。
参考:
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