2020年7月から始まった自筆証書遺言書保管制度(以下、保管制度)ですが、どの程度利用されているのかご存じですか。ここでは法務省の資料から、自筆証書遺言書の保管申請件数の推移をみていきます。
保管制度は、自筆証書遺言書の保管を法務局へ申請できる制度です。この制度を利用することで、自筆証書遺言書を自宅で保管しているときに起こるかもしれない、紛失、改ざんや隠ぺいのリスクをなくすことができます。また、遺言者の死亡後、相続人が自筆証書遺言を発見すると、家庭裁判所で検認の手続きをしなければなりませんが、保管制度を利用すると、検認の手続きが不要となります。
この保管制度の利用状況について、法務省がまとめている資料(※)から、2023年10月までの月ごとの自筆証書遺言書の保管申請件数をまとめると下表のとおりです。
年間の保管申請件数では、2021年が17,002件、2022年は16,802件で減少しています。
月ごとの平均保管申請件数は、制度が始まった2020年が最も多い状況です。2021年、2022年は減少傾向にあります。2023年は10ヶ月の平均ですが、前年・前々年を上回る状況となっています。このままで推移すると、2023年は年間の保管申請件数も増加に転じることが予想されます。
保管制度が始まって3年が経過しました。自筆証書遺言書の保管申請件数は、保管制度開始直後より少ない状況が続いていますが、保管制度の認知がさらに進めば、利用も増えることが考えられます。
(※)法務省「自筆証書遺言書保管制度 12法令・関連情報・リンク集」
本ページ内の「2 本制度の利用状況について」にある「利用状況(令和5年10月)」より作成しました。保管制度の詳細は、同省の「法務局における自筆証書遺言書保管制度について」というページをご覧ください。